「人様からむやみに物をもらってはいけない」その４

その２・その３の続き、最終回です。
（是非、前回の記事を読んでからご覧ください）
 
さて、新しい消しゴムを借りた少年は最後まで残って頑張り、
爽やかに去っていきました。
もう21:30を過ぎた頃だったでしょうか。
Wisardの電話が鳴ります。
 
電話は、ついさっき帰って行った少年から。
電車に乗ろうとしたところ、南浦和駅で事故があり、
京浜東北線が全く動かないとのことでした。
当面は復旧しそうもないということで、彼はWisardに戻ってくることになりました！
せっかく終わったのに塾に出戻りとは、気の毒すぎる展開です(笑)
 
 
時計は22時を過ぎ、彼と僕しかいない、シーンとした教室。
塾でやることといえば、もう勉強しかありません。
彼と相談し、最後にプリントをもう１枚だけやっていこうということになりました。
 
Wisardに入ってすぐにあるテーブルに座り、彼は筆箱を取り出しました。
僕もなんということはなく、その動作を近くで見ていました。
そして筆箱があきます。
ここから、スローモーションのような感覚。
 
 
 
 
そこには………。
数本の鉛筆と…………。
 
 
 
 
真新しい消しゴムが入っていました。
 
 
 
 
二人ともそれをコンマ数秒見つめ、沈黙が流れます。
 
 
 
 
そしてゆっくり視線を上げ、顔を見合わせました。
 
 
 
 
「！！！！
ちょっとちょっと、こらっ！！
さっきはすごく感心したのに、結局消しゴム持って帰っているじゃん！！
感動して損した！！
褒めちぎって損した！！
感心して損した！！」
 
「ああぁぁー！！しまったっ！！！
そうでしたすいません、すっかり忘れてました！！」
 
 
この面白さを上手に伝えられているといいのですが。
ずいぶん笑わせてもらったので、全てを水に流したいと思います(笑)
 
 
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