【中学受験の質問に対応】チャレンジ校の合格をどう評価するべきか。

 

コメント欄でいただいたご質問

 
以前、
 
・入試直前の詰め込み・缶詰め学習は、できるだけ避けたいという方針であること。
 
ということをブログの記事の中で書きました(この記事です)。
それに対して、コメント蘭で以下のようなご質問をいただきました。
 

直前の訓練によって一時的に合格ラインを超える生徒は、入学後が心配です。
先生はチャレンジ受験の合格をどのように考えていらっしゃいますか?

 
コメント欄での質問に答えるというのは、いつか一度はやってみたいと思っていました。
とうとうこの機会が来ましたね(笑)
 
それではお答えいたします。
あくまで個人的な意見ではありますが、Wisardの進路指導担当の講師陣は連絡が密なため、おおよそ同じ方向性で考えています。
とある小規模塾の一意見としてご覧ください。
 
 

チャレンジ校に合格した場合

 
おそらくお尋ねいただいた内容としては、
 
「チャレンジ校に合格する」=ギリギリのボーダーでかろうじて合格した、わかりやすくハッキリ言うと、「まぐれに近い形で合格を手にした」場合、進学後に成績不振に陥り、苦しい思いをしないかどうか。
中学受験時点で実力的に余裕がある学校に進学した方が、よりよい中高生活が送れ、将来につながるのではないか。
 
ということだと思います。
 
結論から申し上げると、入学後のことは気にする必要はなく、成長を期待して送り出すべきだと考えています。
ただし、以下の条件のいずれかを満たしている場合です。
 
 

1.本人のメンタリティ

 
・生徒自身に反骨心・プライドがあり、深海魚状態に甘んじないメンタリティを持っていること。
 
様々な生徒の進学後のお話を伺いますが、強い気持ちを持っている生徒は、最終的には成績下位層に沈むことはありません。
なぜなら、中高生は全員がそんなに勉強するわけではないからです。
そして、大学受験は中学受験と比べると、明らかに先天的な能力の占める割合が低い受験です。
要は、やる気次第でなんとかなりやすいのです。
 
しかし、自分の力はこんなものじゃない、と全員が踏ん張れるわけではありません。
自分はできないと諦めてしまう生徒、気乗りしないからそんなに頑張らなくていいや、と楽な方向に流れてしまう生徒は非常に多いのです。
つまり、上位者の中にもそれをキープできない層がおり、勝手に落ちていきます。
だから、投げ出さないメンタリティさえ持っていれば、集団から弾かれてしまうことはありません。
 
そして、その萌芽は12歳の中学受験時に、ある程度わかります。
長い時間を共にしているご家族はもちろんですが、周囲からもそういった性質は見えていることが多いはずです。
 
「この子なら、レベルが高めの集団でも頑張れるんじゃないか」
 
そういう期待を抱かせるお子さんなら、堂々と送り出せばよいのではないでしょうか。
 
 

2.受験時点で仕上がっていない生徒

 
・中学受験時点では受験生として明らかに仕上がっておらず、今後の伸びが期待できること。
 
わかりやすくいうと、中学受験時がピークの生徒なのか、そうでないのかということです。
そんなことわかるわけがないとお思いになるかもしれませんが、それがわかる場面も少なくありません。
頭がいいのか、そうでないのか、ということはそれなりにわかりやすい資質です。
少なくとも、頭がいい生徒が時間がたってそうでなくなることはほとんどないと感じています。
教室のような、勉強にだけフォーカスしている環境では特にそうです。
 
客観的な事実としてわかりやすいのは、
 
・受験準備期間が短い。
成績は上昇傾向にあるが、それが停滞する前に中学入試が来てしまった。
→進学直後に下位層ではなくなる見通しがかなりあります。
 
・科目間のバランスが悪い
特に算数・国語のいずれかに圧倒的に強みがあり、それ以外の科目と差がある。
→いずれ長所を生かして頭角を表すはずです。
 
・4教科と比べて、明確に高い英語力を既に身につけている。
→大学受験では、英語ができる生徒はとにかく優遇されます。
だから、英語力を求める中学入試がどんどん増えているのでしょう。
 
と言ったあたりでしょうか。
 
つまり、今がピークではないと自信を持って言えるのであれば、チャレンジ校でも進学しやすい、とうことになります。
上記の2点の両方を満たすような子は、周囲のレベルが高いことの恩恵を受けられるという意味で、むしろチャレンジ校により合格させたい生徒とさえ言えます。
逆に、今がピークと自信を持っていえるような場合は、勉強・成績が人生に与える影響が比較的低そうな、附属校が合っているということも言えるかもしれません。
 
 

「狭義でのチャレンジ校の合格」はほとんど見たことがない

 
考えてみると、「この子は本当によく合格したなー、すごいなあ」と思う生徒は毎年複数います。
でも、「この子、進学した後で大丈夫かな?」と心配することはほとんどありません。
もしかすると、この子なら大丈夫、と思うハードルが低いのかもしれませんね(笑)
ただ、質問者さんのおっしゃる「チャレンジ校に合格」という言葉のニュアンスが「絶対に合格しないと断言できるくらい厳しめの学校の合格」という意味でしたら、その時は心配になるのかもしれません。
ですが、そういったことは実際にはほとんどないんです。
これは数百人の卒業生を送り出す校舎に勤務している時から、ずっとそうです。
 
上記のようなお子さんで、なおかつ合格確率が非常に低いチャレンジ校に志望があり、さらに受験スケジュールの中でその志望校を無理なく受験でき、さらにそこに合格するというのは、非常に例外的なケースだということですね。
 
 

まとめ

 
やはり、中学受験の基本としては、
 
十分に合格が狙え、希望の高い志望校を見つけ、順当に合格することを目指して準備する。
 
その中で、生きるために必要な本当の実力をつけていく。
 
ということが一番です。
そして、忘れてはならないことがあります。
ごく一握りのチャレンジ校に合格する生徒の陰で、チャレンジ校に挑み、順当にあっさりと不合格になる多くの受験生がいるということです。
なんといっても、志望校がチャレンジ校ではない形を目指していくことが大切です。
 
 
いかがだったでしょうか。
お尋ねいただいた内容にお応えできる機会がありましたら、またトライしてみようと思います。
すぐにお答えできるとは限りませんが、ご質問はいつもお待ちしています。
 
 
↓ブログ更新のモチベーションとして2つのブログランキングに登録しています。
おぉ、こういう記事がたくさんあったほうがいい!と思ってくださった方はクリックをお願いします。
クリックはそれぞれ1日1回まで有効です。
 
にほんブログ村 受験ブログへ
にほんブログ村
 

4 件のコメント

  • 阿部先生 こんばんは

    うんうん、そういうことだよね!いいんだよね!大丈夫なんだよね!
    と、うなずきながら読ませていただきました。

    数日後に厳しい現実を目の当たりにする予定なので(笑)、その前にこの記事を読むことが出来て良かったです。

    とにかく、ごちゃちゃうだうだ考えずに『志望校がチャレンジ校ではない形を目指していく』を念頭に置いて進んで行きたいと思います!

    どなたかが質問して下さったおかげで、無関係な私が勝手に励まされました。
    先生はお忙しい中大変かと思いますが、とても良い質問コーナーだと思います。

    私も、何かあったときは、サクッと質問させていただきたいと思います。
    よろしくお願いいたします。

  • 質問させていただいた者です。
    取り上げて下さってありがとうございました。

    子どもは中高一貫の私立に通っています。
    本人は勉強を投げださずコツコツ努力していますが、周りのレベルに追いつかず、深海の手前をウロウロしています。
    子どもの第1志望ではありましたが、やはり能力以上の学校だったのかなという苦い気持が、親にはあります。

    入塾してから、波打ちながらも緩やかな右肩上がりだった成績が、6年生の秋以降に急激に伸びて第1志望校に合格しました。
    周りも驚く合格でした。
    ただ1.2月は本当に調子が良く、夏には厳しいと言われていた併願校にも、全て合格したのです。
    うちの子は結局どの程度のチャレンジだったのだろうかと思います。
    今の学校ですと、勉強していない子(子どもが言います)よりずっと成績が悪いのです。
    親子で自信喪失です。
    やはり、低学年から高いレベルにいたような子達には追いつかないのかな、と。

    今の苦しい状況も、きっと子どもの成長の糧になると信じて、下を向かずに前向きでいようと思います。
    長々と失礼しました。
    これからもブログの更新を楽しみにしています。

  • >2581さん

    励ましていただいて、ありがとうございます。
    我々の意見はあまりドラマチックでないというか、正攻法が多いと自覚していますので、あまり面白みはないかもしれませんが、できるだけ誠実にお答えしたいと思っています。
    ご質問、お待ちしています。

  • >サラさん

    中高一貫校にお通いのお子さんをお持ちの保護者の方だったんですね。
    このブログは中学受験生のお子さんの保護者の方が多い、と勝手に思い込んでお返事をしてしまいました。

    これは心から思うことですが、中高6年間の成績は長い目で見てあげましょう。
    自分の行動がどれくらいの影響があるのかのフィードバックを受けながら、色々試行錯誤できる6年間なんです。
    時には全然勉強しない時期があって、成績がどれくらい落ち込むのかを感じることも勉強です。
    小さな成功と小さな失敗をどんどん繰り返して、少年少女が一人前の若者に育っていくんだと思っています。

    中学受験という一発勝負の舞台で、生き残って切符をいただけた環境を楽しんで、6年間を過ごされてください。
    番号があった時の喜びは忘れ得ぬもののはずですし、今後もそういう機会は必ずきます。
    きっと晴れやかな気持ちで卒業できるはずですよ。

  • コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。