【中学受験】2019年度 開成中学校 算数 入試問題の分析

 
2019年度の開成中学校の算数入試問題についてです。
各問の講評も含めて。
こういった内容はいずれ書くのであれば早い方がいいと思い、記事にしていきます。
 
 

前年2018年度からの流れ

 
前年の2018年度の入試問題は近年稀にみる易しさで、多くの学習塾関係者は悪い意味でビックリし、脱力したものでした。
僕も含めてあらゆる先生が難化を予想していたはずですが、注目していたのはどのような形で難しくなるかでした。
 
問題の難易度を上げるには、おおまかに以下の方法があります。
 
A:全体的に計算処理を複雑にし、処理能力を重視する。
B:難度の高い図形問題の比重を高め、直感的な把握力を重視する。
C:典型問題からひねった問題、パッと見てすぐに解法が思いつかない問題を多く出題し、読解力・試行力・論理的な思考力を重視する。
 
これがどのような形で組み合わさるかな、という点が焦点でした。
 
 

2019年 開成の入試問題

 
結論から言うと、非常に面白い入試問題でした。
例年から比べると、長い問題文をしっかり読み込んで設定をつかみ、その上で考えることを要求する出題でした。
設問の流れに沿い、ヒントを活かしながら考えるという点も特に重視されています。
上記で言うと、Cの傾向が強いと言えそうです。
手応えは十分。
1年間、最難関校に備えて準備してきた生徒たちにふさわしい問題だと思います。
 
 

各問講評(難易度を含む)

 
大問1:速さ
 
(1)(2)(3)全てAランク
 
速さと比の出題ですが、問題をダイヤグラムなり矢印図に整理すれば難しくありません。
この問題は絶対に落とせません。
 
大問2:立体切断
 
(1)(2)Aランク
(3)Bランク
 
受験生おなじみの切り口が六角形になる立体切断。
ですが高さが未知数で、2方向から見た面積がわかっているという珍しい形式。
(2)までは必答、(3)は正解できればアドバンテージがとれます。
問題の図が数値的に正しい長さと実測をおそらく意識的にずらしてあるので、それにとらわれず確信を持って解き進められたかどうかで差がつきます。
 
大問3:場合の数(道順)
 
(1)≪図1≫≪図2≫共にAランク
(2)≪図3≫Aランク≪図4≫Bランク
 
設定そのものは非常にシンプルなのですが、戻る道の選択で場合分けするという方針に気づき、論理的に計算で解かないと完答するのは難しい問題です。
数え上げて粘りすぎて時間を使いすぎないことも重要と言えます。
ルールを理解して法則に気づいた生徒は一瞬で自信を持って答えられるため、かなり差がついた問題ではないでしょうか。
(感覚としては、東大2017年文系前期の大問3のような感じです。
気になったお父さんはどうぞ!)
 
大問4:試行力
 
(1)Aランク
(2)(a)(x)(y)(z)Aランク
   (b)Cランク
   (c)Cランク
 
頭のいい生徒がほしい、という開成のメッセージが伝わってくるような良問です
限られた時間の中で、「1回目の⇒で誰も負けなかった」ことから、全ての移動で偶数が動いており、さらにそのためには偶奇の組み合わせが1通りしかないことに気づかなくてはなりません。
説明されれば理解することは難しくありませんが、これに気づけた生徒は合格してしかるべきだと思います。
ただし、問題文を丁寧に読みこんで(2)の前半まで正解すれば、その先は全くわからなくても合格点には至ります。
とてもいい問題だとは思いますが、合否にはそれほど影響がないでしょう。
 
 

合格ライン

 
合格ラインとしてはAランクの問題を全て正解し、できれば大問2・3のいずれか一方を完答することが望ましいと思います。
B・Cランクの問題を全て落としてしまった場合は、他教科で多少挽回する必要があるはずです。
 
 

まとめ

 
とても解き応えのある、算数の面白さの詰まった問題だと思います。
(これは開成の入試問題では、けっこう珍しいことなんです)
傾向と対策としては、やはり理系的な直感力よりも論理的な思考力、粘り強く考え、それを確かめる姿勢が求められていると言えます。
まとめると、算数が好きな生徒、その中でも問題の設定をきちんと把握できる生徒が高得点を取りやすい入試問題でした。
 
 
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2 件のコメント

  • 阿部先生 こんにちは

    2/5の朝刊に問題が載っていたので、問題を見ながら先生の講評を読みました。
    やっぱり、開成ってすごい学校なんですね!

    問題文を読みながら問われていることのイメージを湧かせることが全く出来ず、私が日頃使っている頭の働かせ方とは違うんだなって感じました。

    未来の東大生が素晴らしい大人になってくれたらうれしいです☆(誰目線!?笑)

  • >2581さん

    開成の入試問題が面白かったのは数年ぶりで、個人的にはとても嬉しいことでした。
    しかし、最高レベルの学力を持つお子さんでも、競争の中で不合格をもらうこともあります。
    本当に厳しいテストだと思います。

    開成に限らず、やはり第一志望校だけでなく併願校もしっかり考えて、中学受験という人生のスタートの部分で順調に走りだすことを考えることが大切ですね。

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