パパのつくったカレー

 9月の授業中、授業も終盤にさしかかった時のことです。
 ある女子が口を開きました。
 
 「あ。あと38分で終わらせなきゃ!!
 今日はママのお誕生日だから早く帰りたいんです」
 
 甘い!!そんな泣き落としを言ってもダメです。
 アベがOKするまでは頑張ってもらうから、というお話をすると。
 
 「でも、お誕生日のお祝いはこの前の休日にしたからいいです。
 お天ぷら屋さんに行って、プレゼントにはハンカチをあげました。
 ママもきっと喜んでくれたんじゃないかと思います。
 今日はWisardだから延長があるかなって不安だったので、たぶん遅くなるって前もって言っておきましたよ。
 ………そうだ、今日はママのお仕事が遅くなるから、パパがカレーを作っているはずの日なんです」

 

 ……なんだか……僕がすごい悪い奴になったみたい(笑)
 この生徒は妹さんもWisardに通っているので、何となく想像できるのですが、とてもいいご家庭なのではという気がします。
 
 ……と、ここまでであれば癒されるお話しなのですが……。
 このお話を聞いていた他の生徒が次々と口を開きます。  

 

 「先生は独身で、つくってくれる人がいないんでしょう!」
 「一人さみしくレトルトかコンビニで済ます日々!」
 「帰ったらカップヌードルごはんを食べるしかないんだ!」
 「かわいそう、先生!!」

 

 ……いや。待ちなさい。
 そこで僕は伝家の宝刀を抜きました。
 「帰ってお母さんに僕に奥さんがいるかどうか意見を聞いてみて。
 僕はあんまり自分のことは喋らないことにしているけれど、立派な大人のご両親はきっとわかってくれているから」
 
 いつもはこれでおしまいなのですが……その日は違いました。
 ある少年が自信満々に口を開いたのです。
 「そう言われたから先週帰って、お母さんに聞いてみました。
 絶対アベ先生、独身に決まっているって言っていましたよ!!」
 
 「え!?そ、そ、そうなの!?  い、意外と君のお母さんも見る目がないんだね……(震え声)」
 そうお返事をするのがやっとでした(笑)
 あれ?このブログ、前半だけの方がよかったかな…………。
 
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