合格体験エピソード

最高の思い出
Bくん (2012年度/開成中進学)

僕は年長の頃、中学受験で少年を描いたドラマをぼんやりと見ていました。

 

そして6年後の1月12日、僕は開智中学校先端Aの入試会場にいました。
この学校を僕は第二志望と位置づけていました。
会場に入る時、サピックスの先生の激励を受けたところ、士気も上がりましたが「これが本当に本番なんだ」という実感をさせられ、緊張感も同時にあがってしまいました。
その時頼りにできるのはサピックスやWisardで積み上げてきた自分の実力だけでした。
そして時計の針が開始時刻に近づくにつれ、心臓の鼓動はどんどん速くなっていきました。
その時から、僕は今までの自分の歩みを振り返っていました。

 

春、Wisardとサピックスに入室したこと。
そのWisardで友達とふざけてばかりいたこと。
マンスリーでは国語の記号選択の問題が最後までできず、α1からα3の間を毎回行き来していたこと。

 

そんなことを回想していると試験が始まりました。
そしていつの間にか試験は終わっていました。
手応えは正直あまりなかったけれど、合格はしていました。

 

その後、僕は第一志望の開成中の入試に向け、一心不乱に問題を解き始めました。
しかし、その合間にいつも不合格だった時の自分を考えていました。
そんな時間もあっという間に過ぎ、時は1月31日、入試の前日になっていました。
この日僕はWisardからもらった激励の手紙を読み、またサピックスの先生から電話でまたも激励を頂き、士気を高めていきました。

 

入試当日。
先端Aの時は全然寝付けなかったのに、前夜はぐっすりと眠れました。
おそらく志望校が2つしかない僕には、落ちたら行ける学校がなくなる先端Aの時より滑り止めがもうできていた開成の時の方が、かかる圧力は小さかったのだと思います。
また、試験会場で同じ南浦和校の子と出会ったこともあり、緊張は自分でも驚くほどほぐれていました。
試験は得意の国語で苦手な抜き出し問題が出題されましたが、苦手な理科がとても簡単な問題だったのである程度の手応えは感じていました。

 

そして僕は受験勉強からの解放を喜び、わりとリラックスして2月3日を迎えました。
当日の僕は何となく起床し、何となく西日暮里駅に来ていたのであまり緊張というものをしていませんでした。
そして受験者たちの思いがつまったはずの3枚の白い板をぼんやりと眺め、自分の番号を見つけました。

 

しかし、この時自分の心にはいままで想像していたような情熱的な喜びのようなものはわきあがってきませんでした。
そこにあったのは「ふーん、合格したんだ」という「感無量」という表現にも合わない、何とも言えない思いでした。
おそらく「嬉しさ」も「感無量」という表現も通り越していたのだと思います。
その感情がどうであれ、この2月3日に起こった出来事は今までの僕の人生の中で最高の思い出となる出来事でした。
そんな経験ができるようになるまで僕の学力を伸ばして下さった先生の方々、ほんとうにありがとうございました。

 

後輩の皆さんへ。
入試前の数分まで、理社の基礎知識の確認は怠らないようにしてください。開成中でみなさんと会えることを楽しみにしています。


進学おめでとうございます。

 

「その時頼りにできるのは、積み上げてきた自分の実力だけでした」
最高にいいセリフだと思います。
自分の能力と、積み上げてきた努力に対する大きな自信がなければ決して言うことのできないことばだからです。

 

初めて君がWisardに現れた日。
僕が「どの学校に行きたいの?」と尋ねた時のことを覚えているでしょうか。
君はためらいつつも、プリントに太陽のマークを書きこみました。
僕は笑顔を浮かべつつも内心こう思ったものです。
「開成志望か……。まあ難しいだろう。どこまで頑張れるかなあ……」

 

その思いが「ん?この子、なかなかやるな」→「これは本物かもしれない」→「どうしても合格させなくては!!」と変化していくのに時間はかかりませんでした。
よく頑張ったと思います。
君は飄々とした中にも、強い意志と強力な学力を併せ持つ少年でした。
僕が驚くような成長を見せてくれるのではと思っています。
感無量を通り越した気持ちをたくさん味わって、すごいヤツになってください。
期待しています。


阿部

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