合格体験エピソード

あきらめない大切さ
Sくん(2013年度/開成中進学)


1月30日

2月1日受験を2日後にひかえた日の朝僕はあまりのだるさ・寒さにWisardを休んでしまいました。
病院に行きインフルエンザ検査をするとA型に感染していることが分かり、僕は2月1日の受験のことを考えて絶望しました。
開成中学校は万全の状態でも五分五分の中学校です。
それでも当日はなるべくよい状態で受験ができるようにとにかく寝ることにしました。

 

1月31日:受験前日
31日になってもインフルエンザ特有の吐き気は消えませんでした。
少し机に向かっては気分が悪くなって布団に戻るということを繰り返しました。
それでも少しの可能性を信じて休みました。

 

2月1日:受験当日
インフルエンザによるふらつき、頭痛は消えないものの完治したと信じて西日暮里駅に向かいました。
開成中学校の校門をくぐると僕と同じ受験生、その塾の先生方が目に見え、自分がこの千人の内の一人にすぎないことを自覚し、ここから先は自分の経験と実力で300人に残るしかないことを改めて感じました。
僕は体調の都合から保健室受験を選びました。
まずは得意科目の国語からです。
その後算数を受けましたが緊張のあまり計算問題を外してしまいました。
その時胸にあったのは絶望、絶望、絶望。
しかしその時は気持ちを切り替えるしかありませんでした。
SAPIXからの応援紙、Wisardからの応援手紙を抱きかかえてうけた理科、社会。
手ごたえを感じられず胸の内は不安でいっぱいで、曇りの空を見て「僕の心の象徴だ」などと考えながら帰り、すぐに寝ました。
午後三時ごろに寝てそれから死んだように眠り続け、起きたのは午後十時。「疲れていたのだな」とだけ思いました。

 

2月3日:発表日
海城中学校の試験が終わってから、現実から逃げたいと思いながら発表を見ました。
自分の番号を見つけたときは、しばらく茫然自失になり、その後喜びがあふれてきました。


進学おめでとうございます。

 

長い期間、Sくんの成長する姿を見てきました。
目線を高く据え、そこに向けての努力を怠らず、しかし深刻になりすぎず明るく学習に取り組むことのできる、そんな模範的な受験生でした。

 

そのSくんが、2月1日を目前にしてあんな悲劇に見舞われるとは……。
しかし、そんな中でもやはり諦めず、「完治したと信じて」、手応えが悪くとも「気持ちを切り替え」て、全力で最後まで臨んだからこそ、悲劇を大どんでん返しのハッピーエンドに変えることができたのですね。

 

誰もが諦めても不思議でない場面で力を発揮できる精神力というのは、そう簡単に身につくものではありません。
最初に挙げた意識の高さとそれを保つための努力を続ける覚悟、その両方を常に持っていたからこそのものです。
今回の経験は、Sくんの人生の中でも指折りに苦しく、指折りに嬉しい経験だったと思います。
この経験を糧に、これからの生活もさらに充実したものにしてください。


畠中

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