2月5日の朝(前編)

「あれ、先生!!」
 
先週の日曜日の朝のことです。
校舎に向かう電車の中。
突然声をかけられ、すっかり気を抜いていた僕はビクンッとしてしまいました。
話しかけてくれたのは、卒業生のお母様でした。
そして彼のことを一気に思い出します。
 
何といっても一番に覚えているのは2月5日のことです。
2月、かなり厳しめのスケジュールを選択した彼はなかなかよい結果が出ず、非常に苦しい入試になりました。
そして、2月5日は最後の日程。
もう平常心で受験することも難しい、精神力が必要になるテストです。
少しでも彼を応援しようと、僕は早朝、受験校の前に立って待っていました。
震えるほどの寒さではなく、入試の緊張感そのままのような、澄んだ空気の朝でした。
 
澄み切った青空
 
しかし………来ない。
彼はいつまでたっても来ません。
最初の受験生が到着する前からスタンバイしていたのに……。
どうしてだろう?どうして来ないんだろう………。
もしかしたら、多くの受験生の中で見逃してしまったのかな??
いや、そんなことはないはず、絶対に今から来るはずだ……。
待っているしかできないだけに、すごく気持ちが焦ります。
 
そうこうしているうちに、始業のチャイムが鳴りました。
時間ギリギリに駆け込んでくる受験生たちの姿ももうなくなってきて……。
小規模塾の先生たちは、目当ての生徒に会えたら次々と引き上げていきます。
とうとう大手塾の先生たちも解散しようとする、そんな時でした。
 
…………来ました!!!
お母さんに手を引っ張られるようにして、とうとう彼が到着しました。
正真正銘の最後にやってきた受験生です。
しかし、やっぱり様子がおかしいです。
試験場に向かいながらほんの少しだけ、ことばをかわすと……。
 
「もう受けたくない、合格してもこの学校には行かない!!」
そんなことを口にする状態でした。
もう最後の試験なんだ、やるだけやってきて、合格してから考えればいいよ!!
それしかかける言葉はありません。
彼は簡単に弱音を吐くような性格ではなく、芯のある気持ちの強い少年でした。
それだけ、その数日間が過酷だったということでしょう。
彼が力を出し切れること、それだけを願って送り出したことをよく覚えています。
 
長くなってしまったので、後編に続きます。
 
 
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