今日、ママがいない。

  Ⅴ期生が中学入試を終えたばかり。
  ようやく寒さが和らいできたこの時期、新学期の授業が始まって1ヶ月あまりがたちました。
 6年生の日曜授業がまた始まり、子供たちはまる半日の授業に慣れつつあります。
 
 そんな日曜日のお昼。
 新6年生の女の子が教室に入って来た時、いつもとは違う様子でした。
 いつもはスタッスタッと軽快に歩いてくる彼女が、今日はぺたんぺたんという感じ。
 肩も少し落としているようにも思いました。
 どうしたのか尋ねると彼女はゆっくりと口を開きました。
 
「先生…今日こわかったんです。朝起きたら、ママがいないんです」
「それはつまり……明日……ではなくて今日、ママがいない。そういうことですか?(笑)」
 
「(僕のことばは無視して)目が覚めて階下におりていったら…ママがいないんです。
 かわりにテーブルの上に理科と算数と社会と漢字のテキストがドサッとおいてあって……やっておくようにとメモがおいてあったんです」
「あっはっは。そ、それはさぞかしこわかっただろうね~」
 
「しかも朝ごはんを食べていたら、もうママが帰ってきちゃって。まだ何もやってないって言ったらカミナリが落ちちゃったんです」
「もう、ママが帰ってきた。そういうことですね(笑)」
「最近は食卓でも、クルマの中でも、旅行先でもず~っと受験の話なんです。もう少し明るい話題でおしゃべりしたいです!」
 
 うーん、こうなると少し話は深刻になります。
 まだまだ入試までの道のりは長いです。
 いまは習ったことをできるだけ短時間で身につけていく時期。
 自分はやれると信じて、やるべきことを1つ1つこなしていくのみです。
 そのうちに、周囲の声は全く気にならなくなってきますから。