前回の続きです。
彼が中学受験を突破するための盾と矛………。
その矛は
国語
でした。
盾は………、国語以外の科目すべて。
彼は会話スキルも普通ではないレベルでしたが、
国語の読解力・記述力ともに、申し分のない生徒でした。
テクニックが優れているというわけではなく、
単純に普通の小学6年生とは言えない精神年齢のため、
国語の文章を正攻法でしっかり掴むことのできる、
ハイレベルな実力者でした。
SAPIXに通っていた彼が最後に受験した、
11月マンスリーテストの国語の偏差値はなんと68。
そしてなんと他の3科目は20台・30台・40台と、
そろって国語には遠く及びません。
それだけの強力な武器があったからこそ、
算数は完全に守りに入ることができました。
ですから、彼への指示は非常に偏ったものになりました。
「算数は50点とれれば合格する。
後半の大問は(1)以外はすべて捨てる!
(1)しか読まなくていい。
その代わり、前半の50点を永遠に見直すんだ。
50点を切るようであれば、さすがに合格は厳しい。
でも50点で合格するんだ。
君には国語という矛がある。
算数は盾だ。
守り切れ!!
解けそうな問題だけを全て、得点しよう!!」
彼はその作戦を信じてくれ、
方針の立つ問題は絶対に正解する、
という気概のある受験生になってくれました。
普段は笑顔の多い少年である彼ですが、
授業の冒頭での演習で失敗し、
取れる問題をポロポロ落とした時は、
珍しくイライラした様子を見せて、
「ダメだ、こんなんじゃダメだ。
これじゃあ、合格できない」
とブツブツつぶやき続けるような、
気合の入った取り組みをするようになりました。
そして、2月1日の夜、
発表時刻とほぼ同時になった電話。
「先生、
桐朋とりました!!」
痺れる合格を勝ち取ってくれました。
彼が言うには、
「算数はイイ感じ。
解ける、解けるぞぉ!!
国語はいつも通り。
社会は前日に詰め込んだ内容が出まくりました。
NATOを北大西洋軍事同盟と書いた以外は、OK。
そこまでは、
ありがとう桐朋!!
テスト中に心の中で、
お礼を言っていました
理科は全然ダメだったから、あれ??ってなったけれど、
なんとか大丈夫でした」
算数の自己採点70点というのは…………。
ホントかいな??
と苦笑いだったことは秘密ですが…………。
よく頑張った、と思います。
盾と矛をさらに磨く6年間を過ごしてほしいと思います。
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