【中学受験】算数は暗記科目じゃない。

 

算数の「暗記」「多様性」について

 
算数の学習について、
ある保護者の方とじっくりお話をする機会がありました。
せっかくですから、算数の学習についての考え方を書いておこうと思います。
 
今回は算数においての「解法の暗記」「解法の多様性」についてです。
 
 
中学受験の算数はとても狭いカテゴリですが、
出題を細かくパターンでわけると相当な数になります。
 
それを全て覚えてマスターしなさい、
という教え方は基本的にはできるだけ避けるようにしています。
そうではなく、根本的な考え方・アプローチを身につけてもらうことが、
得点力を向上させるうえで大切だと考えています。
 
 
理由は単純。
 
その方が生徒の学力が向上するから
 
です。
 

パターン学習の枠にはめすぎないこと

 
例えば、
 
「つるかめのパターンが来たら、面積図を書きなさい」
「約数が3つの数は、異なる素数の積か、あるいは同じ素数の三乗」
「向かいあって2人が出発すると、2回目の出会いまでにかかる時間は、
初めに出会う時間の3倍です」
 
という教え方よりは、
 
「とりあえず、あてはまるパターンを探す。
そして、それが本当にあてはまっているのかを確かめる!!」
「とりあえず、ひたすら書き出す!!」
「とりあえず、図を書いてから考える!!」
 
のような形を強調し、細かい枝葉の解法を覚える習慣がつかないようにしています。
 
 
(誤解のないようにしておきます。
受験直前期においては、例外的に「試験に出る」パターンを
繰り返すことがどうしても増えることは確実ではあります。
 
しかし、早い段階からそれを強調しすぎると、
問題に相対した時の生徒のアクションが、
「すらすら解く」「完全に手が止まる」の2つの両極端にふれやすくなります。
 
そのバランスをとるのが、講師の個性・技量だと思っています)
 

解法の方針は大雑把に→自分なりの形を身につけていくことが大切

 
(さまざまな場面で共通して使用できる)
「できるだけおおざっぱな方針」を身につけ、
解答が正しいのかどうかをチェックする練習が大切

 
ということです。
 
 
これは広範囲に応用できる考え方で、
中学受験のための「テクニック」という域を超えています。
 
つまり、応用範囲の広いアプローチを身につけたうえで、
枝葉的な解決法を1つ1つマスターしていくことが、
論理科目の学習の王道なんです。
 
 
もちろん細かい論点をマスターしていくことで、
全体像が見えてくるという演繹的な方法が効果的な場面も多くあります。
 
ですが、算数については1つの1つの解法を暗記するような学習のしかたよりも、
まず「正解を探す」という時間をしっかりとった後に、
模範となるような考え方を学び、
「正解の探し方」の質を向上させていくことが近道です。
 

答えがあっているだけではダメ!!本当に??

 
「答えがあっていても、やり方がそれじゃダメだ!!」
 
というフレーズをきいたことはありませんか?
 
僕はまったくそうは思っていません。
 
算数は、答えがあっていればなんでもいいんですよ。
それが科目としての「算数」「数学」の一番の違いです。
 
たまたま試した数字が、あてはめてみたら上手くいった。
確かめたから、答えが合っていることは確信している。
 
それでいいじゃないですか?
なにがダメなんです?
 
 
それは算数の学習の最高のスタート地点でもあり、
ゴールでもあるんです。
 
まず答えを探しまくって頭を使った後に、
模範解答を聞く時間が、最も学べる時なんです。
 
やり方を否定するのではなく、
まず答えを見つけたことを称賛し、
確実に答えを見つけられる方法をレクチャーするために、
算数の先生という仕事は存在します。

 

なぜ算数が重視されるのか。
それは論理的な思考力を試す科目だから。

 
算数は自分の考えを検討し、
修正できる生徒が高得点をとりやすい科目です。
 
どぎつい言い方になりますが、
これが得意な生徒が大学受験で活躍できるから、
中学受験での算数の配点が高いんです。
 
 
レベルが高くなればなるほど、
 
「計算を一発で正解できる計算処理能力」
 
よりは、
 
「自分の処理の質・正誤を正しく検討する能力」
 
の比重が高くなってきます。
 

難関校の算数は暗記だけではやっつけられない。

 
難関校の算数の問題は、
 
「パッと見て解法の道筋が最後までしっかりと見え」
「それを確実に実行する力を試す」問題ではありません。
 
 
もっと自由度が高く、
自分なり整理してとっかかりをつかみ、
突破口を見つけたら、そこから足元をしっかり固めながら、
おそるおそる攻略していくような問題です。
 
 
その手の問題を前にしたとき、
 
「こんな見たことのない問題はできません」
 
という生徒では戦えません。
 
よくよく整理して、
自分の知識と結びつけながら考える訓練・習慣が必要です。
 

暗記に走りすぎないために、周囲が意識すべきこと

 
ですから、短いスパンで何回も何回も同じ問題を練習させるのはほどほどにしましょう。
 
「解き方を覚えなさい」という声かけをやめましょう。
 
「解き方を忘れてしまったからできない」という発言を
お子さんがするようになってしまったら、
うまく軌道修正していきましょう。
 
「もっと早く解きなさい!」という声かけはほどほどにしましょう。
 
「そんな面倒な解き方じゃなくて、
もっとすぐ答えが出るやり方でやりなさい」と指導することをやめましょう。
 

暗記に走りすぎないために、周囲が意識すべきこと

 
ゆっくりでも、不器用でもいいんです。
だんだん、上手くなっていきますから。
自分なりに解答へ向かっていく姿勢を評価してあげましょう。
 
 
それがスタートであり、ゴールです。
そうすれば算数の学習はもっと面白くなり、
どんな問題にも対応できる力がついてきます。
 
 
 
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