【中学受験】2023年度 麻布中の算数 講評+解説動画

 

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麻布 算数の特徴

 
麻布中の算数は独自性が強く、
非常に面白い出題をする中学校です。
 
(この文章の筆者も、毎年の麻布の算数を楽しみにしていますし、
良問をまとめて英語圏で出版したら、
世界中の人々が面白がってくれるのでは、と夢想したりもしています)
 
 
また、どの参考書にも載っているような典型題の出題の割合が低いため、
「思考力の算数」という文脈で語られることが多いです。
 
ところが、この点には大きな誤解があります。
 
 
麻布の算数は、難しくはありません。
 
「よくある問題が、そのまま出ることはない」
「大人も唸るような、面白い着眼点の出題がある」
 
ことを、「難問を解かなければ、合格できない」ということに
つなげて考えてしまわないようにしましょう。
難しい問題は、正解できなくたっていいんです。
 
 
特に問題用紙3枚目に配されることの多い面白い数の性質/規則性の問題は、
1問を取り上げると目立ちますが、
実は完答することが難しい難易度であることが多く、
受験者のあいだではそれほど差はついていません。
 
より重要なのは、2枚目までの差のつきやすいレベルの問題で
しっかり得点することです。
 
 
難しすぎる問題を解くことに準備の時間やエネルギーを使いすぎることなく、
適切な難易度の良質な問題で、アタマを使う訓練をすることが、
合格への近道です。
 
本番では、ABレベルの問題で着実に得点を積むことができれば、
算数では大きな点差がつくことはありません。
 
ひとことで言えば、麻布の算数は「守りの算数」です。
難しい問題を解かなくとも30点強の得点はとれる出題ですので、
まずそれをしっかり確保しましょう。
 
 
頻出分野は速さ・数の性質(特に規則性)・場合の数、比の文章題です。
逆に他の男子校で頻出の立体図形の出題頻度は際だって低く、
麻布合格だけのことを考えた場合、重要度は低くなります。
 
(ただし、併願校では出題される場合が多いため、
単元として完全に捨てることは実際は難しいはずです)
 
 

勝負を決めるのは、算数ではない!?

 
さらに「算数の特徴」というトピックからはやや外れますが、
上記のような理由から、算数で50点を超えるような高得点をとることは難しいため、
算数の力だけで合格することが困難な中学校です。
 
理社が暗記よりも読解記述力を重視する出題であることもあり、
数理系/論理系の配点が60点/140点であるようなイメージです。
 
そもそも国語・理科・社会の記述力に適性のある生徒、
ものすごくわかりやすく言えば、「国語が得意な生徒」が
合格しやすい中学校であることはまちがいありません
 
 

2023年度 麻布 算数 総評

 
全体としては、難易度は控えめで易しい入試問題のセットでした。
 
ただし、大問1と4が簡単すぎて、受験者のほとんどが完答しているため、
受験者の差のつくBレベルの問題が少なくなっています。
例年以上に受験者の得点が真ん中付近に集中する分布になっている、
つまり、算数で得点を叩いて一気に合格へ近づくことが難しいセットでした。
 
超頻出単元といえる速さの問題が全く出題されず、
平面図形の大問が2問あったことは、
年度による誤差の範囲内とはいえ、例年とはやや異なる傾向でもありました。
 
 
各問についてのコメントです。
 
大問1 ニュートン算・大問4 食塩水は非常に易しく、
ほぼ失点しようがないAレベルでした。
 
大問2 3の平面図形は(1)はどちらも易しいですが、
逆に(2)はそれなりに難しく、
算数が得意な生徒にとっては、他の受験生に差をつける数少ないチャンスでした。
 
大問5の立方体を取り去る問題は、
関東の中学校ではあまりない論点で、
苦労した受験生が多かったはずです。
 
ただ、この問題も(1)と(2)の前半までは、
全ての受験生にとって十分に正解可能で、
7×7×5の直方体の回数はわからなくても、問題なかったはずです。
 
この問題はマイナー論点で、経験による得点差ではなく、
「その場での機転・頭の良さ」のある生徒を評価できる出題です。
9回という正答を出せた受験生は、ものすごく立派です。
(ただし、配点は非常に低いと予想されるため、
合否に与えた影響はわずかです)
 
 
最後に、合否をわけた出題といえるのが、大問6の規則性の問題です。
 
分数の性質ではなく、規則性に注目することさえできれば、
(3)までは容易に正解できます。
(4)さえも、余計な計算をすることなく規則性だけで押しまくって
正解した受験生はそれなりにいるはずです。
 
一方、(2)以降はまったく手が出なかったという生徒も少なくないはずで、
この問題はものすごく大きな点差がついています。
まさに勝負どころだったといえるでしょう。
(3枚目で得点差のつきやすい出題があった、という意味でも
例年のパターンとは異なる出題だったと言えます)
 
 
 
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2 件のコメント

  • 阿部先生は、開成の算数よりも麻布の算数のほうがお好きなようですね。。。

    なんとなく、筆の運びが楽しそうです(笑)

  • >2581さん
    コメントをありがとうございます!
    麻布の算数は特に好きです。
    ただ、すべての学校の入試問題について、
    好意的に面白い記事を書きたいと思います!

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