予習シリーズの算数は使い方が難しい。の続き。

予習シリーズの使い方の難しさはどのような点にあるのか、というお話です。
前回の記事で予習シリーズに収録されているつるかめ算を例に挙げました。
どのような感想をお持ちになったでしょうか。
 
僕が感じることは、
 
「この問題、全部今すぐに解けるようになる必要はあるのかなあ?
そんなにいきなり入試問題っぽくしなくても、別にいいのにな」

 
ということです。
 
 
さて、つるかめ算のエッセンスは以下のような内容です。
(基本問題を例に挙げます)
 
「○×2+□×4=50 を満たす○と□の組み合わせはたくさんある。
その中で、○と□の合計が19になる組み合わせを見つければOK。
適当に探していけば、いつか見つけることができる。
でも、もう少し早く解にたどりつくことはできないかなあ。
 
表を書いてみてもいいね。規則性が見えてくる。
表は50になる組み合わせから探しても、19になる組み合わせから探してもどちらでもいい。
あるいは、19匹のつるがいると考えて、足を増やしていくためには亀が何匹いるかを考える手段もある。
逆に、全員を亀だとするところからスタートしてもいい。
それを見やすく整理すると、面積図で書くこともできる。
その時々で、やりやすいパターンで答えを見つけてみよう。
もちろん見直しが簡単にできて自分の答えを確かめられるから、それを忘れないように!
じゃあ、何パターンかの聞き方をしてみるから、何とかして問題設定を満たす組み合わせを見つけよう!」
 
 
作成者の狙いは、色々な問い方をすることで、上記のような考え方を身につけてほしい、ということなんです。
そういう意味では、基本問題だけでも十分その目的は達成されていると言えます。
その理解を、練習問題・応用問題を解く中で深めてほしいという趣旨で作られているんです。
 
つまり、
(練習問題)「なんだ、2年生の折った鶴をよければ、基本問題と同じじゃないか!数字がデカいだけだ!」
(応用問題)「テープが23本あるってことは、のりしろは22個だな。
そこで110㎝ロスしているから、それさえなければ1110㎝あったはずなのか。
そうしたら、結局これも基本問題と同じことなんだな」
 
という理解ができれば、取り組んだ効果はあると言えます。
問題を解く中で、理解を深められているということです。
 
 
ですが、この3パターンがそれぞれ異なるパターンに見えてしまうと、少し話が違ってきます。
(練習問題)「3種類出てきたときは、まず1種類を除いて考えて、基本パターンに持ち込もう」
(応用問題)「テープでのつるかめの時は、まずのりしろがなかった場合の長さを求めて、つるかめの形に持っていけば答えが出せる」
 
こういう習得の仕方だと、少し聞き方を変えられればすぐにわからなくなります。
つまり、問題のレベルを上げるよりも、一番大切な考え方をじっくり練習するべきだったんです。
ところが、一気に難しくしすぎると、大切なことが身につかないままに次の単元に進んでしまうことになります。
 
それを避けるためには、まず自分の頭で考え、解説をよく聞くことが一番。
それに加えて、「テキストのどこの問題まで扱うべきなのか」をある程度周囲が示してあげることが必要です。
現時点でどこのレベルまで無理なく身につけられるかは、生徒によって異なります。
毎回、「練習問題は全部」「応用問題も全部」のような決め事にしてしまうと、どうしても解き方を覚えて週例と組分けで得点し、しばらくしたら忘れるorちょっとしたひねりでも脆くなる、ということにつながりやすくなってしまいます。
 
 
まとめます。
予習シリーズは「一つの内容を教える際、その考えを適用できるパターンをたくさん示してくれる問題集です。
しかも進度はとても速くて、次々と新しい内容が出てきます。
(率直に言って速すぎますし、パターンも多すぎます)
ですから、毎回全てのパターンを身につけなくても別に構いません。
そのかわりに単元の中心となる考え方は、1回ずつしっかり理解しながら進んでいくことが大切です。
 
以上です。結局かなり長くなってしまいました。
誰かのご参考になれば幸いです。
 
 
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1 個のコメント

  • なるほど!文章化してもらい自宅で親子で予習する誰でも買える「予習」シリーズなのになぜこんなに難しかったのかがよくわかりました。30年前は分量も少なく簡単だったのに。3年生の時の家庭学習で思うように予習シリーズの先取りがすすまず、秘伝の算数の入門と応用をひとまわししたら親子ともだいぶ理解がすすみました。

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