娘と母の緩衝材・Wisard

Hさんのお母さま(2023年度/普連土学園中 進学)

新4年生2月。
高校受験回避のため中学受験への道に足を踏み入れた娘は、Wisardに入室しました。
それから3年の時を経て受験が終了した今、
娘の熱望校にご縁を頂けたことはもちろんですが、
娘との親子関係を良好なまま完走できたことに感無量の思いです。
これは偏に阿部先生、畠中先生のおかげです。

我が家は、のんびりした娘のペースを尊重するため、
集団塾ではなく予習シリーズの通信教材を用いた母塾メインで3年間を乗り切りました。
物理的にも心理的にも距離の近い母親が舵をとることの弊害を恐れたため、司令塔をWisardの先生方にお願いし、
やるべきこと、余裕があったらやること、やらなくていいことを細かく指示していただきました。

算数は、家庭学習で予習ナビという動画を見ながら例題と基本問題を解き、
Wisard では阿部先生と練習問題に取り組みました。
私は予め動画を視聴しておき、
“ちょっとデキるクラスメイト”として娘に噛み砕いて説明していました。
娘が、私の説明を聞いても理解が追いつかず
「難しい!わからない!やりたくない!」
と言い出したときは、
「じゃあ今やるのはやめよう。阿部先生にもっといい解き方を聞こうね」
と娘の気持ちを受け止めていました。
ここで、やりなさい!やりたくない!の押し問答をしていたら、
娘との関係は悪化していたことでしょう。
娘の段階に合っていない問題ができないのは当然のことで、焦っても仕方がないと考えていました。
その一方で、受験という相対評価においてどこまで本人のペースを尊重してよいものかという思いもあり、
そのさじ加減たるや素人には到底判断できないものでした。
有り難いことに我が家には阿部先生という絶対的な司令塔がいてくださったので、
煮詰まる前に無理をせず先生にお任せしようと割り切り、
娘の気持ちに寄り添うことを優先できました。
どんなに不貞腐れていても「阿部先生」というワードを出せば
直ちに気持ちを切り替えられるほど、娘の阿部先生への信頼も絶対的なものでした。

子育ての目標のひとつに“家族以外の他者と信頼関係を築く経験をさせること”を
掲げている我が家にとって
阿部先生が娘と素晴らしい信頼関係を築いてくださったことは大きな喜びでもありました。
この経験は、娘の人生の宝物になると思います。

余談ですが、阿部先生の
「ママ、優しい~!」
「ママ、すばらしい~!」
等のお言葉により、親への感謝の気持ちが芽生えてきたようで、その点でもいたく感謝しております。
(カホゴな親と呆れられていたのだとは思いますが…)

算数は志望校の算数1科目受験を狙えるほどの成長を遂げた一方で、
大きく足を引っ張り続けた国語……。
畠中先生には最後の最後までご心配をおかけしました。
これは、文章の好悪が激しすぎるという娘の性質に起因するものです。
そのことを裏付けるかのように、娘が「国語の文章が楽しかった!」と言った模試では
安定した数字をとれていました。

最初は家庭学習でも予習シリーズを使用していたのですが、
読解の間違い直しをめぐるバトルが増えてきたことから、
畠中先生が教材を取り組みやすいものにかえてくださいました。
さらに6年生になると、娘が私の記述の採点に不満をいだくようになったため
すべて畠中先生がお引き受けくださいました。
家庭学習は、知識の暗記に注力するだけとなり、
これには娘も積極的だったので穏やかな気持ちで過ごせるようになりました。

12月の模試で過去最低の数字を叩き出した国語でしたが、
1月校では温めていた力を開花させ、思いがけない合格に大きく貢献してくれました。
解答用紙の余白にお絵描きしているのに記述欄は空白…という娘に
根気よくお付き合いいただきまして、ありがとうございました。

そしてなにより畠中先生には、孤軍奮闘する母である私のメンタルを支えて頂き、感謝してもしきれません。
夫が単身赴任中のため、娘の家庭学習、弟の少年団の親業務、自分の仕事の全てのタスクが私の肩にのしかかり、
マンパワー不足でかつてない苦境に立たされた3年間。
畠中先生が私の愚痴に耳を傾け、笑いに昇華してくださることで本当に救われました。
これまで味わったことのないような精神状態のなかで自分を奮い立たせ、
最後まで走り抜くことができたのは、畠中先生の励ましがあってこそです。
心より感謝申し上げます。

***

娘は幼少の頃より極度のママっ子で、何でもかんでも「ママと一緒にやる」という子でした。
私もそんな娘が愛おしく、密着度の高い親子だったと思います。

その流れを受け母塾で走り始めた中学受験への道でしたが、
当初は娘の成長に合わせて徐々に手を離していく予定でした。
しかし、たった数日の季節講習ですら「集団はイヤ!ママとやる!」と言い張る娘に、
これは最後まで密着態勢でいくしかないと覚悟を決めていました。

そんな娘に転機がおとずれたのは、6年生の夏期講習。
半強制的に、黒板(集団)授業を受けることになったのです。
初日、渋々登室した娘でしたが、授業後には表情明るく「結構楽しかった」と。
そのまま、9月以降の黒板授業にも参加したいと自ら希望したことには驚きました。

計算問題を間違えたらマイナス40点、点数をお友達の前で発表される、
誤答を読み上げられる等々、そんなことをされたら傷つくのでは…
と心配していた数々のギミックを、意外にも娘は楽しんでいるようでした。
帰りの車中で
「今日は○番だった!あの問題さえできていれば~!!」
と悔しがる顔は、ついぞ見たことのないもの。
親のいないところでこそ子どもは成長するのだということを思い知った瞬間でした。

そして迎えた試験当日、
「もう行く。バイバイ」
と言ってつないだ手を離し、試験会場に向かっていった頼もしい背中を、
私は生涯忘れないと思います。

別れ際に何度も何度も振り返り、私の存在を確認するように手を振り続けていたかつての娘の姿はなく、
ひたすら前だけを見て歩いていくその背中は「自分の力で道を切り拓く!」という決意に満ちていました。

一抹の寂しさを感じながらも、「やりきった!!!」という思いで滲んだ視界に映る娘の背中を見送っていると、
一部始終をご覧になっていた校長先生がお声をかけてくださいました。
「私も娘が中学受験をしたのでお気持ちよくわかります。
大丈夫、お嬢様はいいお顔をされていたので、きっとお力を発揮できますよ」
こんなにも温かい校長先生がいらっしゃる学校に娘をお預けできることをとても幸せに思っています。
娘はきっともう、大丈夫。
ここから先は、彼女なりのペースで、一歩一歩歩んでいく背中を見守ることになるのでしょう。

4年生で見つけた志望校をずっと想い続け、自分の力で進学する権利を勝ち取った娘を誇りに思います。
正念場で全力を出しきる精神力、これはどうやっても母親の私には鍛えられないものでした。
3年間をかけて、学習面だけでなく、娘(と母)のこころを育ててくださった先生方、本当にありがとうございました。

Wisardよりメッセージ

進学おめでとうございます。

まずは3年間、我々を信頼してお子様をお預けくださり、ありがとうございました。
お母様との二人三脚で受験を乗り切るというのは、並大抵のことではありませんが、
お母様のご方針とお子様のご性格、能力がうまくかみ合っての成功だと思います。
我々も少しでもお力添えできたのであれば幸いです。

中学受験ならではのものとして、どうしてもご両親の負担が大きくなるところはありますが、
この経験を経て大きくなったお子様は、これからはどんどんご両親の手を離れて自分で成長なさっていきます。
今後はそれを温かく見守りながら、応援してあげてください。

最初は言葉を引き出すのも苦労するほどの恥ずかしがり屋さんだったお子様が、3年の時を経て、
我々の制止も聞かずにしゃべり倒せるようになりました(笑)
次の普連土での6年間で、さらにどんな成長を見せてくれるのか、我々も楽しみにしています。

畠中

2023年