【中学受験】12/24は年に一度の特別な日。2021年もその秘密をこっそり明かします。

 
2021年12月24日。
夕方のことです。
 
僕は例年と異なるリラックスした気持ちで、
近所の喫茶店のカウンターに座り、
文庫本を手にしていました。
 
テーブルの上には熱々のホットミルク。
このお店のマスターは養蜂が趣味だそうで、
特製の蜂蜜がたっぷりと溶かされていて、
最高の味わいです。
 
 
そして、テーブルの上にはもう1つ。
日常的に使うスマートフォンのほかに
12年間使ってきた赤いガラケーが置かれています。
 
今年の元日、
 
「Thank you for your all support.
I really appreciate it.
From now on,relax and enjoy your Christmas」

 
という短いメッセージが送られてきて、
僕のクリスマスのおつとめも終わりを告げました。
それ以来、一度も着信することのないガラケーは、
もうお守りのようなものになっています。
 
 
Wisardという教室を起ち上げた1年目から、
クリスマスはずっと気の抜けない1日でしたが、
まさに肩の荷が下りたような気持ちです。
 
 
ホットミルクをすすりながら、
生徒たちのしていたお話を思い浮かべると、
微笑みが浮かんできます。
 

「クリスマスに、あの人に宛てて書いたお手紙が、
お父さんのジャンバーに入っていたんです!!」
 
 
「小学校低学年のときに、
あの人に会いたくて、
目を閉じたまま、ずっと起きていたんです。
でも我慢ができなくて、眠ってしまいました。
 
そしたら、プレゼントをもったお父さんが私の足を踏んで、
それで目が覚めたんです」
 
 
「プレゼントに何がほしいのか、
お母さんが詳しく聞いてくるんです。
 
そしたら、数日後にAmazonから届いていました。
 
でも、大学生までずっとプレゼントは欲しいので、
気づいていない設定にしてあるんです!」
 
 
「あの人からお手紙が置かれていたことがあるんです。
英語で書かれていたんですけれど、
なんだかお母さんと、筆跡が似ていたんですよね……」

 
 
ふふふ。
これからウソのような本当のこと、
本当のようなウソのことを色々経験していくもの。
 
確かに、あの人の存在は大人たちから見ると、
全面的に信じられるものではないのでしょう。
煙突がないことで、ご両親のサポートを受けることがあることも、
逆にカモフラージュになっていることが面白いですね。
 
僕も逆に子どもの時は、
あの人のことが信じられない時もあったことを、
懐かしく思い出します。
 
 
するとその時のことです。
ずっと眠ったようだったガラケーに、
着信がありました。
 
電話帳に登録されているのはあの人だけです。
 
僕はおどろいて、電話に出ました。
しわがれたフィンランド語が耳に飛び込んできます。
フィンランド語には少々心得がありますが、
あの人のその声はかすれていて、
どこかか弱いところがありました。
 
「Pitkän ajan jälkeen.
Itse asiassa minulla on pyyntö.」
 
(君と話すのは久しぶりだね。
実は頼みがあって電話をしたんだ。
以下、日本語で表記します)
 
「君にはずいぶん手伝ってもらった。
ずいぶん楽ができたよ。
君にもクリスマスを楽しんでほしいから、
また私がこの仕事に戻るつもりだったんだ」
 
 
「ありがとう。
昨年は、おつとめを果たせず、
すみませんでした。
 
もう二度とお話する機会はないかと思っていましたよ。
 
ただ、思い出話のために、
この1日にお電話をくれたわけではないでしょう。
 
少し声がおかしい気がしますが、
何かありましたか?」
 
 
隣の席に座っていた、クリスマスの雰囲気に包まれたカップルは、
僕が突然耳慣れない言語を話し始めたことに、
戸惑っている表情でした。
会話の内容は、もちろん伝わっていないはずです。
 
 
「実は、昨日から調子がひどく悪くてね。
咳と軽い発熱。
今朝から、食べ物の味がしないんだよ。
 
なにかこう、いつもの風邪とは違う感じがしてね」
 
 
「!!!
ニュースは全然見ていないんでしたっけ?」
 
「現代のニュースは、全然見ていないね。
なにか、心当たりがあるのかい?」
 
 
「いえ、まず安静になさってください。
呼吸がこれ以上苦しくなるようでしたら、
病院に連絡してください。
 
そして、今夜は?」
 
 
「それなんだが。
もう一度、君に頼みたい。
可能かね?」
 
 
自分の背筋が伸びることが感じられました。
 
「引退する」というのは、何事にしろ、
「何かを始める」ことと同じくらい、
難しいのかもしれません。
 
 
「もちろんです。
任せてください。
 
ただ、下準備を何もしていません。
データもない。
今から、揃えられますか?」
 
 
「そう言ってくれると思っていたよ。
データは、この電話にもうすでに全て送ってある。
 
それから、君は〇〇〇という店にいるだろう。
その屋上にはもう、あいつらが待機しているよ。
 
装備も新調してあるし、プレゼントも、
子どもたちの今朝の気持ちまで反映してある。
そりもコートもブーツもプレゼントも、
ピカピカの最新だ。
 
今度こそ、頼むのも今年が最後にするつもりだがね」
 
 
「さすが。
ずいぶん、用意周到ですね。
では時刻ももう遅いので、早速。
 
お身体にはくれぐれも気をつけて」
 
 
「ああ。よろしく頼む。
世界の子どもたちが、
よい朝を迎えられるようにしてあげてくれ」
 
 
電話を切ると、マスターにお会計をお願いしました。
 
「今年はリラックスした様子でしたが、
もうお出かけですか」
 
 
「ええ、実は少し予定が変わって。
今年こそ、ゆっくり食事もしたかったのですが」
 
 
「ではそれは来年のお楽しみに。
 
屋上への階段でしたら、奥にあります。
お気をつけて、いってらっしゃい」
 
 
屋上への階段、ですって!!??
やはり、このマスター、何か……。
 
まあ、このあわただしいときに詮索はなしにしましょう。
 
 
屋上へ上がると、
夜のひんやりした澄んだ空気が、
気持ちを引き締めてくれます。
 
ひさしぶりの2人に挨拶をし、
スーツケースを開けると、
真新しいコートとブーツが輝いていました。
 
それに身を包むと、
今年も始まるなという気持ちになります。
 
どこからか、シャンシャンと鈴の音が
聞こえてくるような気がします。
 
さあ、出かけましょうか。
 
 
 
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2 件のコメント

  • 阿部先生 こんばんは

    今年もお疲れ様でした。

    なるほど!世界情勢を盛り込みましたね☆
    あの人はワクチン接種などされていないでしょうから、
    大事に至らないといいのですが。。。(笑)

    昨夜は、早々に寝ることが出来ました。
    毎年、家族が寝静まったのを見計らって、
    ミルクやらクッキーやら人参やらの後処理があったのです…(笑)

    子供たちから、「ママ、いつの頃からか、人参かじるのやめたでしょ!」
    と言われる始末。。。(必死さが…)

    ではでは。

  • >2581 さん
    毎年読んでいただけるとネタ切れ感が否めないと思いますが、
    来年はもう少し路線を変えていこうかと思います!

    ニンジンをかじる、とことん頑張っている感じがして、
    すごいです!

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