僕の前に道はない僕の後ろに道はできる
Nくんのお母さま(2022年度/武蔵中 進学)
私がWisardの門を叩いたのは、
5年生の夏の終わりごろでした。
息子は4年生からSAPIXに通い始めて上位にいたものの、
5年生になって積み重ねのなかった理社でだんだんと低迷し、
コロナによる学校休校などですっかりモチベーションが落ちてしまい、
苦しい日々が続いておりました。
本来は苦手な理社を強化する塾がよかったのかもしれませんが、
Wisardを見つけて阿部先生のブログなどを拝見し、
得意の算国を伸ばす方向で入塾も意思を伝えました。
しかし、入塾ができるのは6年生からで半年あったので、
他塾に入られてもかまいません、とおっしゃっていただきましたが、
私はWisardにお世話になろうと決めていました。
初めて面談で私が息子を精神的にうまくサポートできないことを告げると、
阿部先生は「お母さまはまったく悪くありません」とおっしゃり、
涙が出そうになったことを今でも覚えています。
わが家はほぼ母子家庭状態で、
受験生と3才の弟を私1人で見なければならず、
振り返っても自分の人生の中でも、最も苦しい時期でした。
4年生の時こそ、主人が少し勉強を見てくれたり、
忙しい合間をぬって文化祭にも行ったりと協力的でしたが、
5年・6年と上がるにつれて、それが叶わない状況になっていきました。
息子のまわりのご家庭はご両親で熱心な方が多く、
塾の面談にも両親で来られる方を見ては、いつも羨ましく感じていました。
受験は子どもの力が大半だと私も思っておりますが、
SAPIXという親のマネジメント能力が試されるかのような塾に
入ってしまったことに焦り、
自らの能力のなさや器の小ささに涙し、
かといってだれにも頼れず、打ちのめされる日々でした。
幼い弟がいてまともに勉強できるはずもなく、
つねに泣き声と怒声が響き、資料が散乱する家の中……。
やり場のない怒りをお互いにしか向けられない、辛い辛い期間でした。
それでも、Wisardに入ってから、
先生がたのおかげで、息子は自信を取り戻していくことができました。
マイペースで他人にあまり興味がないような性格ですが、
競争心をもつ楽しさを覚え、自分よりできる子に、
あこがれと悔しさを持っていたと思います。
偏差値が飛躍的に伸びたわけではありませんでしたが、
算国への確かな自信を持ち続けることができたのは、
まぎれもなくWisardのおかげです。
そして親の私も、いつも息子を肯定し、
大丈夫ですと何度も力強くおっしゃっていただいた言葉に、
どれだけ救われたことでしょう。
社会の記述が書けなくて、
塾の先生からボロボロに言われ続け苦しんでいた時に、
私のところに持ってきてくださいとおっしゃっていただき、
どれほどありがたかったことでしょう。
Wisardと弟の面倒を見てくれた実母がいなければ、
私たちの受験は成り立たなかったと思います。
そして迎えた1月。
学校に通えないことで相当なストレスを抱えたまま、
家で適当(?)に勉強。
1月31日はホテルで弟がなかなか寝付けず、
つられて本人の睡眠時間はわずか5時間。
息子は6年生の後半からずっと、
「武蔵さえ受かればいいんでしょ」
「武蔵は受かるし」
と言っており、私もおこがましくもなぜか、
ご縁をいただけるという直感がありました。
ですが、さすがに得意の算数で大ミスをやらかしたと聞いたときは、
確信が不安に変わりました。
そして3日の合格発表。
海城中の試験から帰ってホテルでその瞬間を感動的に!
と4時間も発表を見るのを我慢していた私たちを尻目に。
まさかの海城の会場で試験終了と同時に、
スマホで結果を1人で見るという大裏切り。
久しぶりに抱きしめて、よく頑張ったね!!と、
大泣きする予定だった母の気持ちは宙ぶらりんのまま…でした。
受験期間中、常にポーカーフェイス。
緊張している様子もなく、
受かっても喜びを全身で表現することもない。
本番に強く、飄々といくつもの合格をかっさらっていきました。
外ではポーカーフェイスに見えていても、
身体に影響が出るほど苦しみ、
時に挫折しながらもここまで戦い抜いた息子を、
私はほんとうに誇りに思います。
小さくて私のそばを離れなかった子供が、
こんなにも成長し、肉体的にも精神的にも強くなったことは感慨深いです。
もう夜なべをして間違いノートをつくることもなければ、
幼い弟を連れて深夜に塾のお迎えにいくこともありません。
苦労が終わったはずなのに、私の心は未だ落ち着かないままです。
しかし、入学式には喜びを実感できることでしょう。
武蔵という抜群の環境で、親の手を離れ、
自らを高める経験をたくさん積み重ねることを願っています。
1年間という短い期間でしたが、
阿部先生、畠中先生、ほんとうにありがとうございました。
一生心の拠り所となる場所を与えていただき、感謝です。
これからもどうぞ、見守っていただけますよう、お願いいたします。
Wisardよりメッセージ
進学おめでとうございます。
お母さまがお子さんと共に戦っている1年間を、
間近で見守らせていただきました。
個人面談の際、
お子さんはちゃんと育っていますから、
もっとおおらかに構えていても大丈夫ですよ!
ということは何度も申し上げましたが、
それはその場しのぎの言葉ではなく、本気で申し上げていました。
お子さんは周囲がよくわかっている子です。
ただただ頑張ります、がむしゃらにやります!
という姿勢ではないことがお母さまからは物足りなかったかもしれませんが、
教室でお預かりする立場からは、
むしろ頼もしいほどでした。
終わってみれば全勝だった中学受験も、
彼の中ではきっともうすっかり過去のことになっていそうですが、
揺るぎない自信の材料くらいにはなっているはずです。
そして中高6年間の学びと仲間が、一生の財産です。
息子さんの未来を楽しみになさってください。
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