失われないもの

卒業生(2022年度/匿名希望)

娘がWisardに初めて顔を出させていただいたのは、
新6年になった2月だったかと思います。
恥ずかしながら、わが家は夫が中学受験に反対しており、
SAPIXに入室するのも半ば反対を押し切った形で、
当然のようにWisardに入室するのも反対でした。

夫に理解してもらおうと娘とともに働きかけましたが、
数カ月は難しかったと記憶しています。
SAPIXに入ってからも娘と二人三脚で歩んできました。

SAPIXの先生がたはいつでも相談してください、
という対応をしてくださっていましたが、
所詮は多くの生徒さんたちの1人にすぎない娘のことを
相談さえていただくのは申し訳ないような気がして、
面談でない限り、お話をすることはありませんでした。


他の中学受験生をお育てのお母さんたちにも話せない状況の中、
阿部先生には味方になっていただき、
心からありがたいと思ったことを覚えています。

家庭内で意見が一致していないなど、
他の家庭であればありえないことだと思いますが、
先生には受け止めていただき、

「いざ受験をしたら、お母さんと娘さんが正しかった、
ということが証明されますね。
まちがいないです」

と言ってくださいました。
どれだけ救われただろうと思います。


娘に対しても早々に能力を見出してくださり、
いつもポジティブな言葉をかけてくださいました。

Wisardから帰ると、
「あ~、今日も楽しかった」と言っていて、
長時間勉強していたのに、
それを感じさせない姿に驚いていました。

一時期低迷した成績も、受験本番が近づくにつれて戻ってきて、
過去問や模試の結果もよく、このまま進んでいけるかと思っていました。


しかし、2月2日。
第1希望の合格発表。
試験の感触がよかったから、
自分で結果を確認する、とスマートフォンを手に取りました。

そして、そのまま無言で泣き崩れました。
私はこんな思いをさせるために、
受験の道を選んだのだろうか、
それは間違った道ではなかったのかと思いました。

2時間ほど部屋に閉じこもり、
私は部屋の外から声かけをしたり、
気配を伺っていましたがその間も、
この受験は何だったんだろうか、と思ってばかりでした。


不合格のご連絡をまだしていないことに気づいてご連絡をしたところ、
阿部先生が出てくださり、
お声をきいてまた申し訳ない気持ちで涙があふれてきました。

先生はとても残念だ、
お子さんの学力・努力は不合格だったからといって失われるものではない、
と言ってくださいました。
誰に何を言われても響かなかったのに、
阿部先生のことばで私は前を向かなくては、と思いました。

「第2希望の学校はほぼ100%、大丈夫です!」

と言ってくださいましたね。
内心、「本当に?」と思っていましたが、
本当にその通りになりました。


思えば、Wisardでは第2希望の学校の対策を抜かりなく、
熱心に続けてきてくださいました。
Wisardのおかげで、娘は第2希望の学校にひっかかることができました。

ずっと反対していた夫も、
その学校であれば賛成だと言ってくれるようになり、
家族の中で結果的に一番喜んでいるのは夫ではないか、
という状況になりました。

偏差値で言えば、第1希望の学校の方が上ですし、
難関で価値が上かもしれません。

ただ、進学することになった学校は、近くて乗り換えなく通えたり、
3才から続けている楽器の部活動があったりと、
偏差値では測れない価値がありました。

中学受験は偏差値勝負、上に浮くほど価値があると思われがちですが、
決してそれだけではない、ということに気がつきました。


そして、中学受験が娘に残してくれたもの、
第1希望の合格をとれなかったことの意味をずっと考えながら、
努力を続けていくことができると思いました。
1番手でいることは素晴らしい、誇れることですが、
2番手だって、1番手を思い、ずっと走り続けることができます。
それこそ娘に託されたことなのかなと思っています。


Wisardは第2希望の学校を目指せる学力を、授けてくださいました。
感謝しております。
もしも入室していなかったなら、
進学先はもしかしたら違っていたかもしれませんし、
受験が終わった今、感じることや見える景色も違っていただろうと思います。

いつも親身になって下さり、ポジティブに背中を押してくださいました。
子どもの能力を信じてくださいました。
ありがとうございました。

娘はWisardの勉強が大好きでした。



Wisardよりメッセージ

進学おめでとうございます。

2月2日の出来事、身につまされるものがあります。
彼女の手の中のスマートフォンに合格と表示されるよう、
1年間お預かりしてきましたのに力及ばず、
悔いがないといえば、嘘になります。

一方で、その結果でなにかが変わってしまうことはない、
という思いもあります。
授業中に思うように問題が解けず、
悔しさのあまり大粒の涙を流し、
それをぬぐいながら取り組んでいた姿を忘れることはありません。
(あれはまだ中学受験が遠く彼方にある、3月のことでした)
気持ちも力も持っている、素晴らしいお子さんです。


きっと進学校の環境を活かし、
大きく成長してくれるはずです。

最後に1つだけ。
直接申し上げる機会がありませんでしたので、

「本来は不可能でありえないようなことを実現するのは、これからだ」

ということを娘さんにお伝えください。

きっと、「あ、あのことを言っているんだな」ということを、
彼女だけがわかるはずです。

阿部

2022年