【中学受験】どうして勉強するの?3人のレンガ職人の寓話と中学受験(後編)

 
前回の続きです。
 

小学生は成長段階、しかも学生としてのキャリアの初期。
変化するのが当然。

 
まず、中学受験を意識した小学生は、
3年生~6年生くらいの年齢です。
(中にはもっと早く意識している子もいるかもしれませんが……)
 
そして、この年齢のお子さんをお持ちのご家庭はよくお分かりだと思いますが、
子どもたちの1年間はとても長いんです。
 
大人たちの数年分の変化・成長を、1年でしているイメージです。
 
 
つまり、勉強に対する望ましい捉え方が、
その長い期間にわたり、一律に同じであるわけがありません。
 
 

よく考えると、A・B・Cのどの職人も、レンガを積んでいる!!
そのモチベーションは変化していけばいい。

 
Cのレンガ職人が遠くにある理想をモチベーションに仕事に取り組み、
それを実現させたのはたいへん素晴らしいことですが、
それを小学生に常に求めるのは違う、ということになります。
 
くもんでひたすら計算をしまくっているお子さんは、
Aに近い捉え方をしている気がしますが、
本人がそれにやりがいを感じて、役立つ学習経験を積んでいることもありますよね。
 
Bの職人のように、「ただ楽しいから」というだけの理由で、
勉強していたらダメですか?
将来目指しているものがなくてはいけませんか?
 
 

中学受験する小学校高学年の場合

 
中学受験生を指導している感じる、
おおよそ望ましいかたちを書いておきます。
 
基本的に6年生の半ばまでは、
「(対面・ICTに限らず)授業が面白い」ことが最も重要です。
 
学習の初期段階のため、
A・Cの割合が高いと、インプット期間を安定して継続できません。
 
つまらないことは
やりたくないから
です。
 
小学生は「つまらないけど、やるしかない、やった方がいいこと」の耐性が低いんです。
 
 
イメージとしては、
 
A:1 B:9 C:0
 
くらいの生徒がほとんどです。
 
Cのモチベーションは誰も持っておらず、
A・Bの割合に個人差があります。
ただ、優秀である生徒であるほど、Bの割合が高い印象はあります。
 
 
小学校の学習はほとんどの場合、めちゃくちゃにつまらないので、
 
A:10 B:0 C:0
 
くらいの意識ですから、時間的にはA・Bは同じくらいでしょうか。
むしろAの 時間があるから、Bの時間の面白さが際立つような関係性です。
 
つまり、C段階はまだまだ先です。
チェックポイントは「教室の授業が面白い」ことだと考えます。
 
 

6年生の後半になると、パターンがより複雑に

 
これが、6年生の後半(9月以降)になると、
中学受験という目標がぼんやりと見えてきます。
 
そうなって初めて、Cの意識が出てきます。
必要に迫られて、避けていたタイプの勉強に
Aの意識で取り組む場合も増えてくるでしょう。
 
この段階になると、Cの割合が増える分、
勉強に取り組む意識は生徒によってかなり異なります。
パターンが複雑になるということです。
 
明確な志望校に向かって取り組む生徒
A:2 B:2 C:6
 
相変わらず、教室の面白さ・楽しさだけで突っ走る生徒
A:0 B:10 C:0
 
もう新しいことを教えてくれない中学受験の教室には飽きたものの、
合格はしたいからやるしかない生徒
A:8 B:0 C:2
 
こうなると、もう人間の数だけパターンがあると言ってもいいくらいです。
 
 
少なくとも、大人のイメージするような、
A:0 B:0 C:10
あるいは、
A:5 B:0 C:5
 
という中学受験生は非常に少ないことは断言できます。
 
つまり、純粋にCのレンガ職人は、中学受験の世界には存在しないんです。
(面白いことに、純粋なBのレンガ職人はけっこうたくさんいます)
 
 

うちの子には受験生としての自覚がない??

 
「うちの子には受験生としての自覚がない」
 
このフレーズは年に数回は未だに耳にします。
上記のような理由から、
ほとんどの場合、僕はこのように答えます。
 
「そんなものがある子は稀です。
 
しかも、別に必要でもありません。
入試が近くなれば否が応でも
合格したくなるプログラムになっているので、
自然と合格へ近づいていきます」
 
これは、大人が大学受験なり資格試験を受験した時のイメージ、
つまり受験生はCのような目標を持つべきだ、という思い込みからくるものです。
 
 
この見方は、学習のフェイズの変化を軽視しています。
「勉強には理想的な動機づけが存在する」というのは、
誤った思い込みです。
 
そこまで目的意識をもって邁進する小学生がどれだけいるでしょうか。
勉強する理由は変化していくものなんです。
 
 
少なくとも、これまで授業で担当してきた生徒たちの中で、
6年生スタートの段階で目的意識の高い生徒は全体の1割以下です。
 
ですから、それとは違ったモチベーションで取り組む段階のお子さんを、
信頼して応援してあげることが一番だと考えています。
 
 

まとめ→モチベーションは学習のフェイズによって異なる!!

 
まとめます。
 
・小学生はビジネスパーソンではない。
・勉強するモチベーションは、フェイズによって変化する。
・その時々でモチベーションを高く保てるよう、サポートしてほしい。
・少なくとも、大人の理想とする考えの押しつけは、NG。
・勉強がうまくいっているかどうか、最もわかりやすいチェックポイントは、
教室に通うことを楽しんでいること。

 
ということになります。
最後にもう1点、付け加えておきます。
 
 

勉強は楽しいのか?つまらないのか?
「勉強の面白さ」とは?

 
勉強は楽しいのか?つまらないのか?
 
という問題をたてたとすると、
答えは「面白い部分もあり、つまらない部分もある」だと思います。
 
その面白さはどのように表現できるでしょうか。
 
・興味がある内容で、新しい知識を学ぶ
・勉強する中で、新しい視点・考え方を獲得する
・できなかったことが、できるようになる
・実現したいことの方法を知ることができる
・クラスの楽しい雰囲気に参加する
・クラスの競争で勝ったり負けたりする
・テストの結果が上昇する等、結果を実感できる
・目標の実現に少しずつ近づいていく感覚がある
 
けっこう色々ありますね(笑)
 
そして、目を背けてはならないのは、
 
つまらない部分も山ほどある
 
ということです。
 
 
とても長くなったので、
次は勉強の楽しさについて書きたいと思います。
(1回ゆるい内容をはさみます)
 
 
 
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